悠久の時がつくりあげた自然の芸術品「名瀑」を訪ねて 落水口から滝壺まで一気に落下する男性的な滝、幾条もの筋を描きながらゆるやかに流れ落ちる女性的な滝。滝の風景は、川や沢、せせらぎなどとはまた異なった荘厳で神秘的な表情を見せる。万物に神が宿る八百万の神信仰が日本には古くからあり、滝にも神を見出し、畏敬した日本人の宗教的な側面があるからなのかもしれない。みそぎとしての滝は、心身を浄化し、精神を高める役割を持つ。そばにいるだけで気持ちが落ち着き、やすらぐのは滝ならではの癒やし効果。日々の生活に追われて、体が疲れたなと感じたときは滝を巡ると良いだろう。きっと心身ともにリラックスし、安らげること間違いない。特に夏の冷涼さで得られる精神的落ち着きは、何にも変えられない至福の時といえる。 三本滝 黒沢の滝、本沢の滝、無名沢の滝の3本の滝の総称。かつては修験者の修行の場でもあったといわれる勇壮な流れを持つこの滝は、日本の滝百選にも選ばれている。 犬ころの滝 落差10m、幅15m、苔むした岩場をいくつも分岐して流れる滝は清涼感たっぷり。道路脇に階段があり、そこを降りて間近に見ることもできる。滝の上には「南相木温泉滝見の湯」があり、ここから眺める滝も素晴らしい。 柿其渓谷 木曽川の隠れ里ともいわれ、木曽川の支流・柿其川が花崗岩地帯をV字に侵食してできた渓谷。約８kmにわたる渓谷沿いには自然歩道が造られ、いくつもの滝や奇勝が点在する。巨大な白い岩肌の花崗岩に向かって落ちる様子は圧巻。 尾ノ島の滝 天明年間、御嶽開山の祖・覚明行者は滝の幽玄な景観に感応し、滝に打たれて水行満願の日に御嶽に登ったと伝えられる。上段の岩肌に受け止められた水が末広がりに滝つぼまで流れ、豪快な滝見が楽しめる。水温は真夏でも10度以下。 清滝・新滝 その昔、御嶽山に登るには、百日精進潔斎（100日間修行し、身を清める）を行わなければ登れない厳しい伝統があった。今も御嶽信仰の名残で、清滝では滝に打たれる信者の姿が見られる。少し道を登った先にあるが新滝は「裏見の滝」とも。 大瀬の滝 苗場山の登山道1合目付近になる滝。諏訪神社の祠（ほこら）が立つ場所から坂を下ったところにあり、切り立った岩の合間から流れ落ちる水はひと筋の水の帯のようで美しい。 白糸の滝 湯川の源流にある高さ3m、幅70mの滝。その名のとおり白糸が垂れたように幾筋も流れ落ちる様子は、優美なカーテンのようだ。伏流水なので、雨が降っても水は濁らない。透明度は高く、水温も一定しており、軽井沢を代表する名所。 米子大瀑布 米子川の源流、四阿山の北麓の懸崖にかかる落差85mの不動滝と落差75mの権現滝の総称。不動滝の下には、日本三大不動尊のひとつ「米子不動尊」が立ち、今でも修験者の道場となっている。滝とその周辺は１周約２時間ほど。 雷滝 松川渓谷から流れる水が、雷鳴のように轟音をとどろかせるところから名づけられたと言われる。滝の裏側に石段があり、滝つぼまで続く遊歩道が整備されている。道は岩窟をくりぬいたように造られており、滝からの風が吹きぬけてる。 信玄滝 戦国時代、三河攻めの途中に武田信玄がこの地を訪れたと言われる。喉を潤し、顔を洗った際に滝つぼの水が静まり、鏡のようになった。それに霊感を得た信玄は家来に命じて不動明王を建立させ、滝の守り神としたという。落差は23m。