冬にしか出会えない景色を見る 長野といえば冬。冬季五輪が開催された地だけに、スキーやスノーボードといったウィンタースポーツを思い浮かべる人は多いだろう。確かにパウダースノーを求めて世界中からやってくるけれど、寒く、雪深い長野だからこそ見たり、体験できたりすることはたくさんある。冬の長野ならではの魅力いっぱいのスポットを厳選。くれぐれも暖かい身支度でどうぞ。感動の光景は体の芯から温めてくれるはず。 イルミネーション 澄んだ夜の空気に映える 光の集まる場所へ 長野県の冬は空気が澄んでいて、キャンドルの灯りやイルミネーションが幻想的で美しい世界を演出してくる。県内各地には魅力的なスポットやイベントがたくさんあるけれど、この冬に足を運んでほしいスポットを厳選して紹介していこう。 1.長野灯明まつり 1998年の長野冬季五輪での感動と躍動、そして恒久平和への願いを世界に発信したレガシーを継承しようと2004年から始まった。善光寺のライトアップと800基の切り絵灯篭による光の道は、凛とした冬の長野の夜空を彩る、灯明まつりの象徴的な風景だ。仲見世ではそば屋などの各店が「おもてなし」イベントを多数開催する。 2.鹿教湯温泉氷灯ろう夢祈願 古くから湯治場として知られる上田市の山あいにある鹿教湯温泉街を小さな光がほのかに照らす幻想的なイベント。約200個の氷で作られた灯籠に小さなロウソクを灯し、その熱で少しずつ溶けていく氷灯ろう。形を変えていく一瞬の美に見入ってしまうだろう。夕方4時30分からは点灯体験に参加できる。 3.樫山工業イルミネーション 佐久市にある真空機器メーカーの一企業が20年続けるイルミネーションとして地域ではおなじみ。今ではLED25万球を使い、毎年、企画から製作、設置まで社員がこだわりを持って完成まで取り組む本格派に。地元東信エリアのみならず、県外からも見学に来るほどに。国道141号線沿い、専用駐車場も用意されている。 4.軽井沢星野エリアイルミネーション ハルニレテラス、トンボの湯横のもみの木広場、ケラ池スケートリンク、軽井沢高原教会の4つの場所で実施。幸運を呼ぶとされるやどりぎ（宿り木）の実をイメージしたランタンを持って、エリア内を散策できる演出は心温まる。ケラ池スケートリンクでは、空間全体に光の装飾を施し、まるで星空の中でスケートを楽しんでいる気分に。 5.国営アルプスあずみの公園（堀金・穂高地区） 冬のイルミネーションは県下最大級。2004年は「光輝く機関車の旅」がテーマで、機関車や蝶、花々をイルミネーションのキラキラした光で表現する。音楽と光が連動して動くイルミネーションなどの仕掛けや、夜空に打ち上がる花火は、安曇野の自然の中で幻想的に光り輝く。ほかのイベントと併せて楽しみたい。 6.松本市イルミネーション 国宝・松本城を舞台にした壮大な冬のイベント。プロジェクションマッピングをまとった松本城は時代を超えたデジタルアートとなる。大名町や千歳橋など中心市街はイルミネーションで彩られる。期間中には、「氷彫フェスティバル」もあり、松本城公園などで、氷職人が作り上げた透き通る芸術は繊細。光と氷の2大イベントは必見だ。 7.奈良井宿アイスキャンドル 節分に開催される、奈良井宿のアイスキャンドルまつり。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された長く、古い街並みに、約2000個の手作りアイスキャンドルに火が灯され、幻想的な景色が広がる。二百地蔵一斉点火式や地元子どもたちの光の行進隊、打ち上げ花火も見どころの一つ。冬の木曽路は寒いので、暖かな身支度で。 8.星空のイルミネーション2024 標高1,350m、「星降る里」で知られる原村の満天の星空と共に、地上の心温まるイルミネーションが楽しめる。2024年のイルミネーション会場は、第1会場が「八ヶ岳温泉 樅の木荘」、第2会場が「第2ペンション入り口 なると橋」となり、原村らしいアットホームな雰囲気づくりを大切に、 樅の木荘ではイルミネーション期間限定で素敵なDinnerを提供する。 雪と氷 凍える寒さに空気がピンと張り詰める長野県の冬。広い信州の冬を彩る絶景スポットが各地に点在している。自然が作り出す神秘的な光景には思わず言葉を失い、感動が込み上げてくることだろう。タイミングによっては絶景に遭遇できないことがあるかもしれないが、長野県が誇る美しい雪と氷の世界を紹介しよう。 9.地獄谷野猿公苑 約200頭の野生の猿を餌付けしている地獄谷野猿公苑では、冬になると野天風呂に気持ちよさそうに浸かる雪見の猿たちを見ることができる。猿たちの「極楽、極楽」という表情に心があたたかくなってくる。特に外国人から人気の高いスポットで、「スノーモンキー」と呼ばれて親しまれている。 10.いいやま雪まつり 日本有数の豪雪地帯で、普段は厄介者の雪を観光資源に利用しようと始まった市民参加のイベント。迫力満点の大雪像から、人気キャラクターなどのかわいらしい雪像などが並び、コンテストもある。また、雪原に20基以上のかまくらが並ぶ、「かまくらの里」は新たな飯山の冬の風物詩。かまくらの中で鍋を食べたり、雪遊びを体験できる。 11.美ヶ原高原 冬の美ヶ原は遮るもののない銀世界。大雪原がどこまでも続く。あかね色に染まる夕焼けや早朝のご来光、足元には雲海。夜になると澄んだ空に無数の星が輝く。風の流れで積もった雪に模様ができる「雪紋」や霧氷、ダイヤモンドダストなど、貴重な冬の風景が見られる。雪上車での体験ツアーやスノーシューなどのアクティビティも。 12.三滝 北相木村にある「大禅の滝」「小禅の滝」「浅間の滝」は総称して三滝と呼ばれている。なかでも一番見応えがあるのが、30mの高さから水が豪快に流れ落ちてくる「大禅の滝」。毎年2月中旬頃に落下口から滝壺まで徐々に凍り付き、最後には滝全体が大氷柱になる。うろこの様に氷が重なり迫力がある。 13.大町温泉 郷夢花火と音の祭典 温泉郷中央通りに作られたかまくらに明かりを灯すキャンドルライトや、イルミネーションが幻想的な冬の夜を演出。温泉郷の泉嶽寺に祀られた「願いごと」を焚き上げる三九郎まつりなどを皮切りに、1カ月間に渡って行われる。毎週土曜日に行われる和太鼓演奏と花火の競演は圧巻。 14.白骨温泉の雪見風呂 温泉好きにはおなじみ、乗鞍岳の麓にある白骨温泉。冬は本来の秘湯風情がマシマシに。各旅館では、個性的な雪見風呂が楽しめる。晴天の日（時間）をねらって青空の下での雪見露天は最高に気持ちいいし、小雪が舞う中、白濁の湯でゆっくり温まるのも決して劣らない。県道の改良でアクセスが良くなり、行きやすくなった。 15.白川氷柱群 冬の最低気温が−20℃ほどにまで冷え込むから見られる「白川氷柱群」。御岳山の麓、木曽町の西野川沿いの岩壁に、幅約250m、高さ50mの巨大な氷柱が連なる。この氷のカーテンは青白く輝き、幻想的な芸術のようであり、牙のような鋭い氷柱には自然の力も感じずにはいられない。1月から２月になると大きな氷柱が現れる。 16.諏訪湖 御神渡り 冬、諏訪湖が全面結氷後も寒さが数日続き、氷の厚さが10㎝以上になり、さらに昼夜の温度差で氷の膨張・収縮がくり返されると、氷が割れて氷の山脈ができる。高さは約30㎝から60㎝。これが諏訪大社の神様が通った道筋だといわれている。最近の温暖化の影響で発生数は減ったが、ぜひ一度は見たい、神聖な光景だ。 17.千畳敷カール 千畳敷カールの山頂は10月から6月まで一面の銀世界になる。標高2611.5mという世界を、山岳装備なしで体験できる貴重な場所。陽の光を受けて輝く樹氷や天空にそびえる宝剣岳など地上とはかけ離れた情景を胸に刻みたい。 18.禍誤除けの滝 三遠南信自動車道「喬木インター」から８００ｍほど奥まった所にある落差３０ｍの瀑布。冬は瀑布が全面凍結となり、写真愛好家に人気の撮影スポットでもある。名前の由来は、この場所を通行する人たちが禍（災い）誤（あやまり）がないようにと無事を祈ったと言い伝えられたことによるもの。 夜景 長野県にはいくつか絶景の夜景スポットがあるが、今回は高速のサービスエリアから見える夜景をご紹介しよう。空気が澄んでいるからこそ見ることができる光の美しい輝きは、都会で見るものとはひと味違った魅力がある。ドライブの休憩の際には、美しい夜景に癒されてみてはいかがだろう。 19.諏訪湖SA 温泉施設があることでも知られるが、展望デッキからの夜景がサイコー！　諏訪湖を取り囲む街並みの光が浮かび上がる夜景、諏訪湖とアルプス山系が見られる日没後20分から30分頃は「トワイライトタイム」。また、恋人の聖地に認定され、「恋の鈴かけ」のモニュメントはカップルに人気だ。一般道からSAを利用できる駐車場も。 20.姨捨SA 「夜景100選」に選ばれ、上下ともに展望公園がある。千曲市から遠くは長野市、善光寺平の夜景が望める。上りより高所にある下りは、高速道路越しに夜景を楽しめる。名月の里として歌や俳句に詠まれ、現在ではイルミネーションもある姨捨の棚田や、鉄道ファンに「日本三大車窓」として人気の姨捨駅などにも足を延ばしたい。