天空の名所 長野県の秋は山の上から訪れる。沢や斜面など起伏に富んだ山岳の紅葉は、種類が豊富で色もさまざま。ひと足先に、天空の地で秋色に染まった世界を堪能してみては。 １.立山黒部アルペンルート（大町市） 非日常的な山岳風景を満喫できる立山黒部アルペンルート。植生が変化に富んでいて、赤や黄色の紅葉だけでなく、ハイマツの濃緑、チシマザサの淡緑など色彩が豊富だ。立山ロープウェイから見下ろす黒部タンボ平は圧巻。 ２.志賀高原（山ノ内町） 10月初めに広葉樹が色づき、中旬を過ぎて山全体が錦をまとうや、駆け足で冬がやってくる。ごくまれに初雪が早ければ、真っ青な空に雪の白、山の紅葉、里の緑といった豪華絢爛な三段紅葉の絶景が楽しめる。 ３.栂池自然園（小谷村） 標高2000mの山腹に広がる高層湿原。ダイナミックな山景と真っ赤に燃え上がるナナカマドやカエデ、緑から黄色へと変わるダケカンバが一気に色づく。山頂に初冠雪があると、雪・紅葉・緑の三段紅葉が楽しめる。 ４.乗鞍岳（松本市） 日本百名山のひとつ標高3026ｍの乗鞍岳は、ダケカンバやシラビソの林が広がり、9月中旬から下旬にかけて色付き始める。山頂直下に広がる位ヶ原では、ナナカマドの赤い紅葉とハイマツの緑のコントラストが見事だ。 ５.千畳敷カール（駒ヶ根市） 中央アルプスの宝剣岳の麓、約2万年ほど前に氷河の寝食によって形成された鉢状のカール。秋は鮮やかに山肌を染める紅や黄金の彩りに包まれる。天気が良い日には、富士山や南アルプス連峰を見渡す大パノラマが広がる。 山を彩る名所 雪を戴いた3000ｍ級の山々と艶やかに色づいた里山が織りなす風景は、山国・信州ならではのもの。名だたる秀峰の山容美とともに、紅葉に彩られた山の風景を楽しみたい。 ６.白馬岩岳（白馬村） ゴンドラリフトで白馬岩岳スキー場山頂にあがるとそこには白馬村の紅葉が広がる壮大なパノラマが目に飛び込んでくる。山頂にはブナ林が広がる散策コースがあり、紅葉を鑑賞しながらトレッキングが楽しめる。 ７.眺望の郷（小谷村） 小谷村の東側、鬼無里との境に尾根を連ねる山の中腹に整備された公園。山裾が赤や黄に染まるなかで、堂々とした北アルプスの姿が映える。小谷村内と目の前に迫ってくるような北アルプスの山々を一望できる景色が魅力だ。 ８.茂沢別荘地「森泉郷」内ギッパ岩展望台（御代田町） 御代田町の森泉郷にある信州サンセットポイント100選のひとつ、ギッパ岩展望台からは、正面に雄大な浅間山を据え、色付いた裾野の広がりが一望できる。日没時、夕陽に照らされ輝く紅葉もまた幻想的で美しい。 ９.地蔵峠（木曽町） 御嶽山のある標高1100ｍの開田高原は驚くほど美しい紅葉をみせる。雄大な御嶽山の姿を望むことができる人気スポット・地蔵峠からは、冠雪した御嶽山と裾野に広がる紅葉の眺望を堪能できる。紅葉ドライブにおすすめ。 １０.大西公園（大鹿村） 南アルプスの麓・大鹿村にある県立公園。春には桜の名所として知られ、秋は標高差の生み出す豪快な紅葉が見事だ。深紅や黄色に染められた山々が冠雪の赤石岳を引き立て、絶景の眺めを望むことができる。 渓谷の名所 川岸の両側から迫り来る紅葉、荒々しい岩肌、とうとうと流れる川。その景観の美しさから紅葉の名所が多い渓谷。数あるなかから選りすぐりのスポットをご紹介。 １１.天龍峡（飯田市） 国の名勝として指定されている天龍峡。両岸に険しい岸壁をつくり出す、幻想的でダイナミックな景観は、秋になると一帯が紅葉に彩られ鮮やかさが加わる。天竜舟下りや天竜ライン下りで、その迫力を感じながら景色を満喫したい。 １２.松川渓谷（高山村） 全国紅葉100選に選ばれた、信州でも指折りの紅葉の名所。志賀高原などを源流とし、所によっては豪快な滝となって渓谷を流れる松川沿いに、カエデやブナ、ナナカマドなどの広葉樹が赤や黄色に染まる。遊歩道も完備。 １３.阿寺渓谷（大桑村） ヤマメやイワナが生息する清流の阿寺川。渓谷にはカエデが美しく色づき、清々しい空気のなかで紅葉を堪能できる。シーズン中は、渓谷内の橋の補修により立ち入りができない場合があるため要問い合わせ。 湖の名所 他では見られない、幻想的な風景をつくりだす湖の紅葉。周囲を覆う木々の紅葉が湖面に反射し、湖までもが秋の色に染まる。その神聖な雰囲気に浸りたい。 １４.鏡池（長野市） その名の通り、戸隠連峰と紅葉した木々が水面に映り込み素晴らしい眺めとなる鏡池。10月上旬から下旬にかけて、シラカバやツタウルシ、カエデなどの広葉樹が赤や黄色に染まる。湖畔の周辺にも遊歩道があり散策できる。 １５.雲場池（軽井沢町） 真っ赤なカエデが美しい雲場池は、赤や黄色、針葉樹の緑など、色とりどりの葉が池にせり出すように縁取って、水面が紅葉色に染まる。池の周りの遊歩道の散策はまるで紅葉のトンネルをくぐるような感覚。 １６.女神湖（立科町） 10月中旬から下旬に湖を囲む木々が見頃を迎える。風もない穏やかな日には鏡のようになった水面に周囲の景色が映りこみ、岸部の紅葉が水面に映る様もまた美しい。湖畔の遊歩道で散策しながら水辺の紅葉の醍醐味を味わいたい。 滝の名所 岩肌に沿って荒々しく流れ落ちる滝と、包み込むかのように周囲を覆う紅葉とのコントラストは、日本の情緒を感じる秋の原風景。滝の音に耳を澄ませば、心が洗われていく。 １７.米子大瀑布（須坂市） 日本の滝百選に選ばれ、日本で唯一「大瀑布」の名称を持つ米子大瀑布。落差85mの不動滝、75mの権現滝のふたつの滝が流れ落ちる岩肌と、黄色や赤に色づいたモミジ、コナラ、ブナなどの木々とが対照的で美しい。 １８.不動滝（高森町） 高森町の不動滝は高さ50m、幅10mもの勇壮な滝。季節ごとにさまざまな表情を見せてくれる。秋になると滝へ向かう林道沿いのカラマツも、鮮やかに黄葉し、滝周辺のモミジも美しく彩りを添える。家族でピクニックで楽しむのもいい。 １９.大滝（栄村） 秘境・秋山郷は、秋山と名付けられた通り、秋景色が見事。大きな岩から落下する落差35ｍの大滝は、紅葉と調和して美しい景観をみせる。滝に向かう遊歩道もブナやミズナラなどの広葉樹の大木が並び、見どころのひとつだ。 美林の名所 遠くから眺めるだけでなく、森の中に入って紅葉を楽しむのも、県土の78％を森林が占める信州ならでは。トレッキングも兼ねて、自然林へ紅葉狩りに出かけてみては。 ２０.八千穂高原（佐久穂町） 北八ヶ岳の麓に広がる八千穂高原には、約200haに及ぶ日本一美しいと言われる白樺林があり、白い幹とともに黄色や赤に染まった葉が美しい光景を作り出す。標高が高く温度差の大きい高原ならではの鮮明な極彩色が特徴だ。 ２１.カヤの平高原（木島平村） 標高1450mに広大なブナ原生林が広がるカヤの平高原。樹齢300年を超え、日本一美しいと言われるブナ林が、黄色の華麗な紅葉を織りなす。紅葉に加え高山植物の観察や、数種類のきのこ狩りも楽しめる。 ２２.水木沢天然林（木祖村） 木曽川源流にある天然林で、3つの遊歩道が設けられ、木曽ヒノキやモミジなどの針・広葉樹が混生する貴重な森林の中を散策できる。シーズンにはカエデ類の赤・黄色とブナの黄金色で見事な色鮮やかな紅葉の世界に。 古刹の名所 風格漂う建物に鮮やかな赤や黄の色が映える。長い歴史を紡いできた寺院は、静かな秋の情緒に浸る場所。緻密に計算され整えられた庭園の姿に、日本の美意識を感じる。 ２３.霊松寺（大町市） 山奥にある600年前創建の古刹。カエデやサクラが敷地内を囲うように彩り、東庭の池にカエデが落葉する様は風情がある。山門や本堂と紅葉の構図素晴らしく、シーズン中は内部拝観ができるため、窓越しの眺めも一枚の絵のよう。 ２４.光前寺（駒ヶ根市） 長い参道に並ぶ木々は眩しいほどの黄金色に染まり、登りつめると閑静な山門いっぱいに広がる銀杏の黄葉が。境内の三重塔は「未完成の完成の塔」と呼ばれ、独鈷山や色付いた木々のなかにひっそりと佇む姿は趣がある。 ２５.前山寺（上田市） 長い参道に並ぶ木々は眩しいほどの黄金色に染まり、登りつめると閑静な山門いっぱいに広がる銀杏の黄葉が。境内の三重塔は「未完成の完成の塔」と呼ばれ、独鈷山や色付いた木々のなかにひっそりと佇む姿は趣がある。 ２６.長円寺（茅野市） 境内に湧く水を利用した水琴窟や百体の石佛を配する。350年以上（江戸中期）の歴史を持つ寺を、約100年前に京都から移植された一行寺楓が深紅に染め上がる。夜はライトアップされた楓が鮮やかに浮かび上がる。 城の名所 多くの桜が植えられた城は、春は花見、秋は紅葉の名所となる。平地の城は山から下りてくる紅葉前線の最終地点。深まり行く秋の雰囲気を堪能したい。 ２７.上田城跡公園（上田市） 天正11（1583）年に真田昌幸が築城した平城。北の櫓脇にあるカエデや二の丸堀跡のケヤキ並木が美しい紅葉を見せる。落ち葉の絨毯が散歩道を覆い、夜はライトアップにより幻想的な秋の黄金色が浮かび上がる。 ２８.高遠城址公園（伊那市） 700年の歴史を持つ城下町高遠。春は桜色に染まる公園が、秋には見事な紅葉に彩られる。園内の約250本のカエデが鮮やかに迫ってくるような勢いと、しなやかな美しさを醸し出し、趣のある風情を感じることができる。 ２９.小諸城址 懐古園（小諸市） 桜で有名な小諸城址懐古園だが、紅葉の時季も美しい。モミジやイチョウ、ケヤキなどが赤や黄色に染まり、特に紅葉ヶ丘の鮮やかな赤いモミジは見事。敷地内には動物園や記念館、遊園地があり、一日ゆっくり楽しみたい。 ３０.国宝　松本城（松本市） お掘周辺の木々が紅葉すると、重厚感のある黒塗りの天守を美しく彩り、この時期ならではのコントラストを見せる。秋色に染まる城もまた、麗しげで美しい。見る場所によって石垣や水面との取り合わせが異なる。